・導入
昭和21年、スーツを来た女性がまだ空襲の被害が残っている東京を歩き、「法曹会館」へと入っていきました。そこにいた男性が女性を見かけ「君か」と呟きます。
昭和6年。愛らしい振袖を来た高等女学校生・猪爪寅子(いのつめともこ)は、見合いの席で居眠りしています。寅子の父・直言(なおこと)は、お見合い相手に寅子の名前がトラ年生まれだから、等と必死に話していました。
・寅子の家庭
寅子が居眠りをしている理由は、前夜大坂の花丸少女歌劇団へ入りたいと考え家出を試みたからでした。しかし、夜中に幼い弟のトイレに付き合って起きていた母・はるに見つかってしまい、家出は未遂に終わります。
その後母は、女学校まで入れたのに情けないと言います。寅子は結婚は考えられない、胸が躍らない、女学校で得た知識を活かし職業婦人になりたいと答えました。母は「はいかいいえで答えなさい!」叱り、起き出して来て様子を見ていた父、兄・直道と書生の佐田優三も「母に従いはい、と言え」と口パクで伝えます。
疑問を解消したい寅子が更に続けて自分の考えを口にすると、母からは女学校で学んだ知識は結婚生活で活かしなさいと更に厳しく叱られてしまい、結局夜通し母から叱られていたのです。居眠りする寅子のことを父は必死に言い繕いしますが、結果お見合いは相手に断られます。
<寅子の母親が、家庭内で絶大な発言力を持っていることがわかります。寅子が必死に抗弁してもぴしゃりとはねつける辺り、何か強い信念をもっている女性と見ました。対して父はお見合いの席では雄弁ですが、口パクで寅子にアドバイスしたりとかなり尻に敷かれているタイプですね。>
・寅子の悩み
翌日登校して女学校の親友・米谷花江に見合いのことを相談すると、親が子の幸せを願うのは当然、良き妻良き母になることが親孝行だと言われます。寅子は「女の幸せ=結婚」には同意できない、女学校を出たら自分がやりたいことを探したいと言いますが、花江に「やりたいことがあるならそれも良いけど、そんなにお子ちゃまだったの?」と諭されました。花江の結婚は親孝行、との意見を聞いて寅子は親孝行になるならとお見合いを頑張ってみようと考え直します。
<この当時は高等女学校(今の高校)を卒業したら、そのまま結婚して家庭に入るのが普通だったのですね。女性が職業を持って働くことなど考えられない時代だったのでしょうね>
・3度目の正直
2度目のお見合いもうまく行かず、3度目のお見合いは気乗りはしなくてもせめて良い相手と結婚したいと考えた寅子。すると相手は外国帰りのエリート男性でした。
男性は、アメリカで目にして考えたことを話し、自分が考えている経済や社会の情勢について語ります。そして、同じ目線で語り合える相手を妻にしたいと言いました。寅子はこの人ならばと思い、新聞を読んで得た知識をもとに、国際情勢などについて自分の意見を話し出します。父と話すときのように勢いづいて語ります。
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